「全粒粉のパスタは体にいい」
あなたが健康意識の高い方なら、
聞いたことがあるかもしれませんね。
しかし、
全粒粉のパスタには、
注意すべき点もあるのです。
今回は、
「全粒粉のパスタの注意すべき点」について、取り上げます。
全粒粉のパスタには注意が必要!?
さて、今回の結論は、
「全粒粉パスタには、注意すべき点がある」です。
確かに、
「全粒粉のパスタ」をはじめとする全粒粉食品は、
栄養価が高く、体に良いとされる研究が多くあります。
しかしながら、
それと同時に、注意すべき点もあるのです。
今回は、
「全粒粉パスタの注意すべき理由」を
5つの観点から、見ていこうと思います。
全粒粉のパスタを注意すべき5つの理由とは
全粒粉のパスタは、残留農薬に注意!?
全粒粉のパスタについては、
「残留農薬」の観点から、注意が必要です。
「全粒粉のパスタ」が、
製粉された小麦から作られた「普通のパスタ」よりも、
栄養価が高いことは、事実です。
しかしながら、
小麦が、製粉される時に、
「栄養」と共に、「汚染物質」も一緒に取り除かれていることも、
また事実なのです。
つまり、
「全粒粉のパスタ」は、
栄養価の高さと引き換えに、汚染物質も多く残されていると言えるのです。
まず、
代表的な「汚染物質」としては、
「残留農薬」が挙げられます。
1992年の少し古い研究報告になりますが、
小麦の残留農薬の80%は、
製粉で取り除かれる「表皮」部分に含まれており、
製粉された小麦粉への農薬の残存は、2~20%程とされています。
(参考:小麦の製粉及び調理加工後における有機リン系農薬の残留)
つまり、
残留農薬のほとんどは、製粉の過程で取り除かれるということです。
さらに、パスタを茹でる際に、農薬が除かれることを考えれば、
製粉された小麦で作られる「普通のパスタ」には、
残留農薬の心配は、ほとんどないと言えそうです。
逆に、
残留農薬のほとんどが残されている「全粒粉のパスタ」については、
注意が必要と言えるのです。
あわせて、
環境保護団体『EWG』のコラムを参考にしましょう。
(参考:Four lesser known foods high in pesticides: The answer may surprise you)
2017年、フランスでの研究によれば、
全粒粉のパンやパスタ、シリアルなどを多く食べていた子どもたちは、
尿中のピレスロイド系殺虫剤の代謝産物のレベルが、
高かったことが判明しました。
また、
米国農務省(USDA)によって、
慣行栽培の小麦739サンプルを検査したところ、
19種類の残留農薬が検出されたことが、
明らかにされています。
検出された農薬の中には、
クロルピリホスやデルタメトリンなど、
神経毒性を有する有害な農薬も含まれていました。
これらの農薬は、
微量であっても、
脳や体が発達の途中にある子どもたちに、悪い影響を与える
と言われています。
子どもたちには、
成長していく上で、取返しのつかないことにならないよう、
しっかりと注意してあげたいところですね。
全粒粉のパスタは、ヒ素に注意!?
次に、
全粒粉のパスタの「汚染物質」として、
注意しておきたいのは、「ヒ素」です。
「ヒ素」についても、
残留農薬と同様に、
「表皮」に多く含まれる特徴があります。
インドのチームが行なった研究を参考にします。
(参考:Arsenic exposure through wheat may increase cancer risk)
小麦を製粉すると、
「表皮」と「白粉」に分かれます。
「表皮」と「白粉」のヒ素の量を比べたところ、
「表皮」には、「白粉」の3~4倍のヒ素が含まれることが
明らかにされました。
つまり、
「全粒粉のパスタ」には、
「普通のパスタ」の3~4倍のヒ素が含まれると
考えることができます。
農林水産省の発信によれば、
ヒ素が継続的に体に入った場合、
皮膚組織の変化やガンが引き起されます。
(参考:農林水産用>食品中のヒ素に関する基礎情報)
「全粒粉のパスタ」を食べる上では、
「ヒ素」についても、注意が必要だと言えます。
全粒粉のパスタは、カビ毒に注意!?
また、「全粒粉のパスタ」における大きなリスクの1つとして、
「マイコトキシン」が挙げられます。
(参考:Effect of wheat species (Triticum aestivum vs T. spelta), farming system (organic vs conventional) and flour type (wholegrain vs white) on composition of wheat flour; results of a retail survey in the UK and Germany – 1. Mycotoxin content)
「マイコトキシン」とは、
「カビが発生させる毒素」のことです。
基本的に、
カビは、「表皮」に付くものですので、
全粒粉では、「カビ毒」のリスクが高まってしまうことは、
言うまでもありません。
報告によれば、
全粒粉を精白粉(小麦粉)と比べたところ、一部の毒素の濃度が124% 高かった
とされています。
マイコトキシンは、カビ毒の総称ですので、
実際には、多くの種類のカビ毒が存在します。
マイコトキシン(カビ毒)の中には、
人体への影響については、まちまちですが、
肝臓、腎臓等に障害を与えるものや、
造血機能障害や免疫機能不全などを引き起こすもの、
さらには、発がん性を示すものもあります。
「マイコトキシン」にも、
十分に注意が必要だと言えるでしょう。
全粒粉のパスタの食べすぎは食物繊維をとり過ぎに!?
そして、
体に良いと言われる全粒粉のパスタも、
「食べすぎ」は、よくありません。
なんと、「全粒粉(強力粉)」には、
100g当たり11.2gの食物繊維が含まれます。
(参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂))
これは、「普通の小麦粉」の4倍以上の量です。
食物繊維は、一日当たり、
18~64歳の男性であれば、21g以上、
18~64歳の女性であれば、18g以上、
食べることが、推奨されています。
(参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト>食物繊維の必要性と健康)
もし、
大盛りのパスタと他の野菜を食べれば、
1食だけで、推奨されている摂取量に
達してしまいそうです。
調子に乗って、
食べ過ぎなければよいのですが、
食物繊維を摂り過ぎてしまった場合、
腹痛や便秘、下痢などを引き起こす原因となってしまいます。
何にでも言えることですが、
全粒粉パスタの食べすぎにも、注意は必要なのです。
ただし、食物繊維は、
腸内細菌たちのエサになる重要な栄養素でもありますので、
適量を心得て、しっかりと摂っていきたいところですね。
全粒粉のパスタの食べすぎはフィチン酸のとり過ぎに!?
全粒粉のパスタの「食べすぎ」が、
体に良くない理由が一つあります。
それは、「フィチン酸の摂り過ぎ」です。
フィチン酸は、穀物や豆類などに
含まれる天然の化合物であり、
フィチン酸そのものが体に悪いわけではありません。
しかし、
フィチン酸には、
「ミネラルの吸収を阻害する」という特徴があります。
「ミネラルの吸収を阻害する」というのが、
どのような働きかというと・・・
フィチン酸が、本来、体に吸収されるはずのミネラル分に対して、
包み込むように結びつき、体の外に排出してしまうという働きです。
そのため、
フィチン酸を摂りすぎてしまうと、
カルシウムや亜鉛、鉄分のようなミネラルの吸収が邪魔されてしまうという点で、
体に悪いともいえるのです。
しかしながら、一方で、
フィチン酸が、体に良くない金属をうまく排出してくれるため、
体に良い面もあるといった研究報告もあります。
(参考:Phytate Decreases Formation of Advanced Glycation End-Products in Patients with Type II Diabetes: Randomized Crossover Trial)
フィチン酸自体には、
抗酸化作用もあり、体に良い効果を与える面も多いので、
あくまで、「摂りすぎ」に注意すべきだと考えましょう。
体に良いと聞いた食べ物を大量に食べるのではなく、
バランスの良い食生活を心がけることが重要だと言えるわけですね。
やっぱり、全粒粉のパスタが体にいい理由とは
さて、
全粒粉のパスタには、
特に、汚染物質の心配があるわけですが、
ここからは、体への良い効果をまとめておきます。
全粒粉のパスタは栄養価が高い!?
小麦粉から、作られる「普通のパスタ」は、
”エンプティカロリー”とも呼ばれるように、
ほとんど栄養がないと言っても過言ではありません。
それに比べて、
「全粒粉のパスタ」には、
ビタミンB群やミネラルが多く含まれています。
これらの栄養素は、
体内で合成できないため、
食事から摂るしかありません。
全粒粉のパスタには、
体の調子を整えるための重要な栄養素が、
多く含まれているのです。
全粒粉のパスタには、食物繊維が豊富!?
先ほども取り上げましたが、
全粒粉のパスタには、
食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維も意識的に摂ろうとしなければ、
なかなか摂ることができない栄養素の1つです。
食物繊維が含まれることは、
以下の3つの良いことにつながります。
- 血糖値の急激な上昇を抑えてくれる。
- 便秘を解消してくれる。
- 腸内細菌のエサになってくれる。
いずれも健康に良い影響を与えくれる重要な要素です。
全粒粉のパスタは、疾病を予防してくれる!?
全粒粉パスタは、
一部の疾病を予防してくれるという研究報告もあります。
(参考:日東富士製粉>全粒粉が健康に与える影響について)
1日に90gの全粒穀物を食べることは、
以下のように病気による死亡のリスクを下げてくれるのです。
1日90gの全粒穀物を食べることで減少する病気の死亡率:
・糖尿病・・・-36%
・呼吸器疾患・・・-19%
・全てのガン・・・-11%
・脳卒中・・・-14%
90gと言えば、
ちょうどパスタ1食分くらいでしょうか。
毎日・・・というのは、
少し飽きてしまいそうですが、
1つのデータとして、知っておいて損はなさそうですね。
全粒粉のパスタは、満腹感が得られる!
全粒粉のパスタは、
少しぼそぼそしていることもあり、
よく噛んで食べる必要がありますよね。
これは、考え方によっては、
悪いことばかりではありません。
食べ物をよく噛んで食べると、
満腹中枢が刺激され、
食べ過ぎを防ぐことができるのです。
つまり、ダイエットへの効果にも
期待できる可能性もあるということですね。
普通のパスタよりも、
消化に時間がかかることもあり、
腹持ちもよさそうです。
健康的なダイエット方法として、
検討の余地があるかもしれませんね。
全粒粉のパスタには、オーガニックがいかがでしょうか?
今回は、
「全粒粉のパスタの注意すべき点」について、
取り上げました。
全粒粉パスタの注意すべき点としては、
以下が挙げられました。
全粒粉パスタの注意すべき5点:
・残留農薬による汚染
・ヒ素による汚染
・カビ毒による汚染
・食べすぎによる食物繊維の摂りすぎ
・食べすぎによるフィチン酸の摂りすぎ
一方で、全粒粉パスタを食べるべき理由としては、
以下の4つが挙げられました。
全粒粉パスタを食べるべき4つの理由:
・栄養価が高い
・食物繊維が豊富
・疾病予防の効果も期待できる
・ダイエットへの効果も期待できる
「食べすぎ」を除けば、
全粒粉パスタの注意すべき点は、
「汚染物質」ということになりそうです。
では、
「汚染物質」を避けながら、
全粒粉パスタの体にいい点を享受することはできないのでしょうか?
その一つの回答としては、
「オーガニック全粒粉のパスタを食べること」です。
「オーガニック全粒粉」であれば、
「残留農薬」と「ヒ素」のリスクは、低減することができます。
ただし、
「カビ毒」については、
「オーガニックと通常の全粒粉では、同程度である」と報告されています。
「カビ毒」については、
商品に妙な変色がないことを確認するなどで対処しましょう。
「残留農薬は、野菜や果物を食べることで得られるメリットを相殺してしまう」
という研究報告もあります。
(参考:Intake of fruits and vegetables according to pesticide residue status in relation to all-cause and disease-specific mortality: Results from three prospective cohort studies)
せっかく、「全粒粉パスタ」を食べるのであれば、
「オーガニック全粒粉のパスタ」を選んでみてはどうでしょうか。