最近、行きつけのスーパーに
「タイ産の鶏肉」が並び始めました。
やはり、国産よりも安いです。
しかしながら、
「タイ産、大丈夫なのかな・・・?」
と、少し心配な人もいるのではないでしょうか。
今回のテーマは、
「タイ産の鶏肉です。
タイ産の鶏肉には、注意点がある!?
さて、今回の結論は、
「タイ産の鶏肉には、注意が必要な点がある」です。
2002年には、タイ産の鶏肉には、
発がん性物質である「ニトロフラン」の残留物が検出されたこともありました。
ずいぶん前の話ではありますが、
これは、かなりのバッドニュースです。
さて、その後、
タイ産の鶏肉は、生まれ変わることはできたのでしょうか?
一度、ついた悪いイメージを払拭するのは大変です。
そこで、今回は、
タイ産の鶏肉について、
「注意が必要だと言える理由」と「デマ」について、
整理していこうと思います。
それでは、
くわしく見ていきましょう。
タイ産の鶏肉に注意が必要だと言える2つの理由
タイ産の鶏肉で抗生物質の残留物が認められた!?
2017年のNIKKEI ASIAの記事を参考にします。
(参考:Shakeup in Thai poultry industry as human health fears grow)
タイの消費者財団が、
ファーストフード店で、
鶏肉の抗生物質の検査を行いました。
その結果、
18サンプル中、1つのサンプルに抗生物質の残留物が検出された
とされています。
抗生物質の検出率としては、
18分の1(5.5%)というのは、
少し高いと言えるでしょう。
抗生物質を甘く見てはいけません。
日本国内でも年間8000人の方が、
抗生物質の乱用で、生み出された耐性菌のせいで
命を落としているという報告もあります。
(参考:抗生物質効かない菌で年8000人以上死亡 国内実態が初めて明らかに)
タイ産の肉の抗生物質の使用量はかなり多い!?
さて、
タイ産の鶏肉の抗生物質がらみの話については、
さらに気になる点があります。
実は、
タイでは、家畜を育てる時に、
かなりの量の抗生物質を使用しているのです。
「Our World in Data」の2020年のデータを参考にします。
(参考:Antibiotic usage in livestock, 2020)
タイ (mg/PCU) | 日本 (mg/PCU) | |
---|---|---|
肉の生産1kgあたりの抗生物質の使用量 | 338 | 63 |
タイの肉の生産1kgあたりの抗生物質の使用量は、
「338mg/PCU」とされています。
対して、
日本の肉の生産1kgあたりの抗生物質の使用量は、
「63mg/PCU」です。
タイでは、家畜に対して、
日本の約5倍の抗生物質が使われています。
抗生物質については、
多く使えば、「耐性菌」が発生するリスクが高まるため、
使用量は少ない方がいいと考えられています。
世界的には、
「肉の生産1kgあたりの抗生物質の使用量」を
50mg/PCU以下に抑えることが推奨されています。
タイでは、抗生物質が大量に使用されていることが伺えます。
データを見る限り、
タイ産の鶏肉に、抗生物質の残留物が見つかった話には、
納得がいきますね。
タイ産の鶏肉に関する2つのデマ
ここからは、
タイ産の鶏肉の「デマ」について、
整理していきます。
タイ産の鶏肉にはホルモン剤は使われていない!?
まずは、
「ホルモン剤の使用」のデマについてです。
タイ産の鶏肉には、ホルモン剤は使われていません。
タイの大手養鶏業者である
CPF社からのメッセージを参考にします。
(参考:Relaxed! Eating chicen is safe.)
メッセージを見てみると、
「タイの養鶏業においては、ホルモン剤や成長促進用の添加物は使用されていない。」
ことが記されてます。
これに関しては、
「EU」が、タイ産の鶏肉を輸入している時点で、
疑う余地はないかと思います。
EUは、
「ホルモン処理された肉」の輸入を
禁止しているからです。
ちなみに、
「EU」や「日本」は
2004年に一度、タイ産の鶏肉を
「輸入禁止」にしたことがあります。
しかし、これは、
「鳥インフルエンザの発生」が原因です。
現在は、すでに輸入は解禁されています。
以上のことから、
タイ産の鶏肉には、
ホルモン剤は使用されていないと考えてよいでしょう。
タイ産鶏肉は、薬漬けではない!?
先ほど、
”タイ産の鶏肉には、抗生物質が大量に使われている”ことに触れました。
しかしながら、
「抗生物質の使い方」自体は適切であり、
「薬漬け」とまでは言えないようです。
まず、抗生物質の使い方について、
おさらいしておきます。
抗生物質には、
主に以下の2つの使用目的があります。
抗生物質の用途:
・病気を治すため
・成長を早めるため
どこの国においても、
家畜の「病気を治すため」に、
抗生物質が使われることはあります。
病気の家畜を放置するのは、
動物虐待に当たります。
タイも例外ではありません。
しかし、
それとは別に、
家畜の「成長を早めるため」に
抗生物質が使われることもあります。
こちらは、悪い使い方とされています。
タイの大手養鶏業者である
CPF社からのメッセージによると、
「病気の予防のためにワクチンを打つことはあるが、成長をはやめるために抗生物質を使用することはない」
とされています。
加えて、
「鶏肉を加工する前に、畜産開発局に化学物質を使用していないことを証明しなければならない」
とも、記されています。
世界中に輸出を行うために
「品質管理をしっかりしよう!」
というタイ当局の強い意図が感じられます。
ただし、
先ほども触れましたが、
タイでは、家畜に使う抗生物質の量が、他国より、かなり多いことは事実です。
そこには、注意が必要だと言えるでしょう。
結局、タイ産の鶏肉の危険なの?
今回は、
「タイ産の鶏肉は大丈夫なの?」
について、取り上げました。
タイ産の鶏肉が危険だと言える理由:
・消費者財団の検査で、抗生物質の残留物が認められた。
・抗生物質の使用量が、日本の約5倍。
タイ産の鶏肉に関するデマ:
・ホルモン剤は使われていない
・抗生物質の使い方は適切
タイ産の鶏肉については、
抗生物質の観点から、心配な点があるといえます。
やはり、
新興国の食品は、
ブラジルの違反事例などもあり、
若干の不安を感じる面もありますよね。
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