鶏肉は、おいしいですよね。
スーパーに行くと、
「ブラジル産」や「タイ産」の
鶏肉も並んでいますね。
「なんだかんだで、国産は心配ない!」
そう思っている人も多いのではないでしょうか。
では、なぜ、
国産の鶏肉には危険がないと言えるのでしょうか?
ただの身内びいきかもしれませんよね。
今回は、
「国産の鶏肉」について、取り上げます。
国産鶏肉は、危険はないと考えられる!?
今回の結論は、
「国産の鶏肉は、危険はないと考えられる」です。
ブラジル産やタイ産などの鶏肉と比べると、
やはり、国産に危険はないと言えるということですね。
あなたが、なんとなく、
抱いている「国産に心配はいらない!」というイメージは、
あながち、間違ってはいないと言えるしょう。
では、3つの観点から、
理由を見ていきましょう。
国産の鶏肉が危険ではないと言える3つの理由
日本の食品は、世界的に見て品質が高い!
まずは、
「世界の中での日本の食品の評価」を見ておきましょう。
2022年の「GFSI」を参考にします。
(参考:Global Food Security Index 2022)
「GFSI(Global Food Security Index)」とは、
イギリスのメディア企業である、
「エコノミスト」が発行する「世界各国の食料安全指数」です。
では、
2022年の日本のデータを見てみましょう。
世界における日本のランキングは、
なんと「6位」です。
このランキングは、総合的に判断して、
「国民が、高品質で栄養価の高い食料を簡単に調達できるかどうか」
が評価されています。
スコアからは、食品の品質を守るための
「法律」や「ガイドライン」、「検査技術」などが、
しっかりと整っていることがうかがえます。
これで、客観的に見て、
世界の中で、日本の食品の品質は、
最高水準であることがわかりました。
国産の鶏肉には、ホルモン剤は使われていない!?
ここまでの話で、
日本の食品の品質は、
世界でも最高水準であることがわかりました。
さて、次は、
お肉が危険かどうかを考える上で、
避けては通れない「ホルモン剤」について、
見ておきましょう。
国産の鶏肉には、
「ホルモン剤」は使われているのでしょうか?
答えは、「No」です。
つまり、
国産の鶏肉に、
ホルモン剤は使用されていません。
農林水産省のコメントを見てみましょう。
(参考:農林水産省>肥育ホルモンについて)
下記のように記載されています。
肥育ホルモンとは、牛や豚などの肥育促進を目的に使用される動物用医薬品等です。日本国内では、農林水産大臣による動物用医薬品としての承認はなく、また飼料添加物としても指定されていないため、使用されていません。
「農林水産省>肥育ホルモンについて」より
以上のことから、
国産の鶏肉には、
ホルモン剤の心配はないと言えるでしょう。
「いやいや、そんなこと言ったって、
黙って使ってる悪徳な業者もいるかもしれないじゃないのか!?」
などという意見も出てきそうですね。
これについても、
おそらく、大丈夫かと思われます。
家禽に関する知識共有サイトである
「The Poultry Site」のコラムの内容を参考にします。
(参考:Chickens Do Not Receive Growth Hormones: So Why All the Confusion?)
基本的に、
家畜の成長を早めるホルモン剤は、
「注射」で投与する必要があります。
ホルモン剤は、エサに混ぜて、
食べさせても、効果が失われてしまうからです。
牛にホルモン剤を投与するときも、
耳の後ろにホルモンのインプラントを
埋め込んで投与します。
しかし、
牛と違って、体の小さな鶏に対して、
1羽1羽、ホルモンのインプラントを
注射で埋め込んでいくところを想像してみてください。
たいていの養鶏場には、
2万羽以上の鶏たちが生活していると言われています。
そのすべての鶏たちに注射をしていくのは、
少し現実的ではないように思いますよね。
しかも、
鶏は、牛と違って、
何もしなくても、生後1ヵ月~2か月程度で、
出荷されることになります。
以上の話を整理すると、
鶏にホルモン剤を使うことは、
労力の割に、効果がうすく、
コストに見合わないという結論になりますよね。
ですので、
普通に計算ができる養鶏業者さんであれば、
鶏のためにホルモン剤を使うようなことはしないと
考えられます。
もちろん、
養鶏業者の中に、
損得を度外視する程のむき出しの悪意を持った人がいないことが
前提になるわけですが・・・。
食の安心は、
ほんの少しの悪意によって、あっけなく崩れ去るのが
怖いところです。
ひとまず、
鶏には、ホルモン剤が使われていないということについては、
納得していただけたかと思います。
国産の鶏肉、抗生物質の使い方は適切!?
さて、次に、確認するのは、
「抗生物質の使い方」です。
日本では、
鶏たちに対して、
抗生物質を適切に使われているようです。
まずは、
抗生物質の使い方について、
おさらいしておきます。
抗生物質には、
主に以下の2つの使用目的があります。
家畜を育てる時の抗生物質の用途:
・病気を治すため
・成長を早めるため
どこの国においても、
家畜の「病気を治すため」に、
抗生物質が使われることはあります。
なぜなら、
病気の家畜を放置するのは、
動物虐待に当たるためです。
日本も例外ではありません。
しかし、
それとは別に、
家畜の「成長を早めるため」に、
抗生物質が使われることもあります。
こちらは、抗生物質の悪い使い方とされています。
当然ながら、
先進国である日本では、そのような目的で
「抗生物質」を鶏たちに、大量に使うことは禁止されています。
一方で、
養鶏業者さんからすれば、
「抗生物質」をたくさん使えば、
鶏たちの病気の管理がしやすくなります。
ですので、
病気を治すという目的の下、
「抗生物質」を多く使うことはメリットにつながります。
しかし、
そこで、「抗生物質」をどんどん投与してしまうと、
鶏たちの体内の病原菌たちは、耐性を持ち始めて、
薬に強くなってしまうのです。
それが、
いわゆる「耐性菌問題」と
言われています。
万が一、
「耐性菌」をもつ鶏たちの肉を、
我々、人間が食べてしまうと、
薬で簡単に退治できない病気に感染してしまうリスクに
つながってしまうのです。
つまり、
「耐性菌」の観点からは、
「抗生物質」の使用量は、必要最小限に抑えた方が、好ましい
ということになります。
では、
日本では、家畜を育てる時に、
どれくらいの量の抗生物質を使っているのでしょうか?
2020年の時点で、
日本では、
「肉1kg生産当たりの抗生物質の使用量」が、
「63mg」とされています。
(参考:Antibiotic usage in livestock, 2020)
世界的には、
抗生物質の使用量を「50mg以下」にするというのが、
一つの目標になっているようです。
日本の抗生物質の使用量は、
かなり目標値に近づいてきていると解釈できるでしょう。
もちろん、
このデータは、鶏肉に限らず、
「すべての種類の肉において」ということになるので、
日本の世界での立ち位置を
うかがい知るための一つのデータにしかなり得ません。
そして、
「抗生物質の使用量や使い方」は、
「それぞれの養鶏場によって異なる」というのも、
重要な事実です。
ですので、
「抗生物質不使用」を
宣伝している養鶏業者さんの鶏肉を選ぶというのは、
賢い選択だと言えます。
「抗生物質」の乱用には、
「耐性菌のリスク」の他にも、
「残留物のリスク」などもあります。
ですので、
お肉を選ぶときは、
「ホルモン剤」だけでなく、
「抗生物質の使い方」についても、
少し気にしておきたいところですね。
結局、国産の鶏肉は危険ではないの?
今回は、
「国産の鶏肉」について、見てきました。
国産の鶏肉については、
以下の3つの理由から、
危険はないと考えてよいでしょう。
・日本の食品の品質は、世界的に見て高い
・国産の鶏肉にホルモン剤は使われていない
・国産の鶏肉への抗生物質の使い方は適切である
世界から見た日本の食品の品質は、
十分に高いようです。
そして、
国産の鶏肉には、
ホルモン剤や抗生物質の乱用などの心配はしなくてよさそうです。
ただし、
抗生物質の使用については、
養鶏業者さんによって、その判断が異なります。
養鶏業者さんの中には、
「抗生物質不使用」を売りにしているところもありますので、
そういった鶏肉を選んでみるのもいいかもしれませんね。