缶詰は、
「おかずをもう一品くらい・・・」
という時に、
すごく役に立ちますよね。
しかし、
そんな便利な缶詰入り食品・・・
実は、
とんでもないリスクが
ひそんでいるのです。
特に、
妊婦さんやお子さんは
気をつけた方がいいかもしれません。
今回は、
「缶詰食品に潜むリスク」
について取り上げます。
缶詰の内側の「塗料」が、体に悪い!?
今回の結論は、
「缶詰の塗料からは有害な化学物質が溶け出す」です。
実は、
缶詰の内側には、
「エポキシ樹脂」という「塗料」が塗られています。
そして、
この「エポキシ樹脂塗料」が、
我々の体に悪い影響を与えるかもしれないことが
わかってきているのです。
もしかしたら、
缶詰の内側に、
塗料が塗られていることは、
知らなかった人も多いかもしれませんね。
しかし、
金属である缶は、
食品の油や酸に
長期間、さらされ続ければ、
サビて腐食されてしまうはずですよね。
だから、
缶詰の内側は、
油や酸による腐食を防ぐために、
「塗料」で加工されているわけです。
そして、残念なことに
「エポキシ樹脂塗料」も万能ではありません。
塗料の一部は、
食品中の油や酸、アルコールなどによって、
少しずつ溶かされてしまうのです。
「溶けた塗料」は、
いったいどこにいくのでしょうか?
答えは、もちろん、
「食品の中にまぎれこんで、私たちの体の中に入り込んでしまう」です。
体に入り込んだ「塗料」は
未発達な子どもたちに
特に悪い影響を与えてしまうと言われています。
ですので、
妊婦さんやお子さんは
特に気をつけた方がよいのです。
缶詰の塗料に含まれる「ビスフェノールA」
さて、では、
具体的に「エポキシ樹脂塗料」に含まれるどのような物質が体に悪いのか、
という話に入っていきましょう。
多くの缶詰の内側に塗られている塗料には、
「ビスフェノールA(BPA)」という
体に悪い物質が含まれています。
缶詰の内面塗装には、
「エポキシ樹脂」という強力な塗料が使われますが、
この原料が「BPA」なのです。
「BPA」こそが、
「缶詰が体に悪い」という話の元凶なのです。
「BPAが体に悪い」ということに関しては、
現在、少しずつ一般的に
知られつつある状況でしょうか。
ビスフェノールAは、なぜなくならないのか?
では、
体に悪いとわかっている「BPA」は
なぜ、スーパーからなくならないのでしょうか?
それは、
私たち消費者が、
「正しい知識を持っていない」うえに、
「安いものを求める」からです。
これは、いったいどういうことなのでしょうか。
実は、意外にも、
塗料業界では、
「BPAが体に悪い」という話は、
わりと常識なのです。
なので、
善良な企業は、
「BPAを含んでいない塗料」を
発明して、私たちの健康を守ってくれようとしています。
ちなみに、
「オレオレジン」という樹脂などが、
代わりの塗料の候補に挙がっています。
しかし、
残念ながら、
「オレオレジン」のような
「BPAを含まない塗料」を選べば、
その分、その缶詰の値段は、
上がってしまうことになります。
「缶詰の値段が上がる」・・・
これは我々消費者にとっては、
とても大きな問題ですよね。
さて、
この記事を読む前のあなたは、
「BPAフリー」と、よく分からない言葉が書いてあるだけで、
なぜか少しだけ値段の高いツナ缶やサバ缶を
買おうと思いましたか?
思いませんよね?
「BPAフリー」とは、
「BPAが含まれていないこと」を意味します。
消費者である私たちは、
よほど、きちんと勉強をしていなければ、
「BPAフリー」の缶詰を買うことで
どんなメリットが得られるのかをよく知りません。
よくわからない理由で、
値段の高い商品など、誰も買いたくないのです。
同じような商品ならば、
1円でも安いものを買いたいのです。
そして、
多くの消費者に欲しがられるからこそ、
スーパーには、その商品が並ぶのです。
つまり、
「BPAが使われている缶詰」がなくならないのは、
ほかならぬ、消費者である私たち自身のせい
だということなりますね。
しかし、
本当にBPAが体に悪いのであれば、
政府が介入して、
製造をやめさせるのではないの?
という疑問も湧いてきますよね。
残念ながら、本件には、
当面の間は、政府が介入することはなさそうです。
政府は、
「BPAによる社会全体への不利益」と
「BPAをなくすためのコスト」を
天秤にかけて、
「不利益>コスト」と明確に算定された時に
はじめて、介入をおこないます。
現時点で、
「BPA」のような物質については、
「社会全体への不利益」を
数値として、正確に算出するのは
簡単ではありません。
そのため、
世論の変化や、衝撃的な研究報告などがない限り、
本件については、
「企業の努力」と「消費者の自由意志」に任せる
ということになるでしょう。
政府が動けば、
製缶業界や塗料業界には、
さぞ激震が走ることが予想されます。
ヘタをすると、
政府の鶴の一声で
どこかの塗料メーカーや食品メーカーを
つぶしてしまうことにもなりかねません。
現時点では、
厚生労働省も
「個人で気を付けてね!」
メッセージを出すくらいのことしかしていません。
ビスフェノールAの人体への影響は?
さて、では、
「缶詰」に含まれると言われる「BPA」は、
具体的に、どのように体に悪いのでしょうか?
「BPA」は、
「内分泌かく乱物質」として、有名な物質です。
「内分泌かく乱物質」がよくわからないという方は、
↓の関連記事をご覧ください。
「BPA」のような「内分泌かく乱物質」は、
長い時間をかけて、
人体に影響を与えていくタイプの物質です。
ですので、
「BPAの人体への影響」を
簡単に断定することはできず、
まだ、正確にわかっていないこともあります。
それを踏まえた上で、
現在データとして、わかっていることを
確認していきましょう。
ビスフェノールAが子どもを肥満にする
2016年にニューヨークでおこなわれた研究によれば、
「出生前のBPA曝露」が
「7歳児の肥満」に
関係することが見出されています。
つまり、
妊娠中のお母さんがBPAを体に取り込んでしまった場合、
生まれたお子さんが肥満になってしまうことは、
すでにデータとして示されているということです。
2013年スペインでの研究でも、
妊娠中の母親のBPAレベルが高いと、
4歳までの子どものBMIが高くなることが
報告されています。
他にも、
2013年カリフォルニアの研究では、
幼少期のBPAレベルに応じて、
9歳でのBMIが高くなることが
示されています。
どうやら、
複数の研究で、
同じような報告が行われているようです。
BPAと肥満には、
関係があると考えた方がよさそうですね。
ビスフェノールAは性欲を減退させる
さて、
大人の男性の方々も
他人事ではありません。
2009年中国の研究では、
BPAをあつかう工場で働く人たちを対象に調査をおこない、
尿中のBPAレベルの高さが、
性欲の減退や勃起障害、射精困難などとの
関連があることが報告されています。
もしかしたら、
近年、草食系男子が増えてきたのは、
社会環境の変化のせいだけではないのかもしれません。
もちろん、
社会全体で起きた現象の原因を
何かひとつに特定することはできないわけですが・・・。
ビスフェノールAは人間の多くの機能に影響を与える?
「肥満」や「性欲の減退」くらいなら、
どうにか我慢できるのでは?と思ったあなた。
まだ、これだけでは終わりません。
まだまだ明確ではないものの、
BPAは、人間の多くの機能に影響を与える可能性があることが、
多くの専門家に指摘されています。
2019年のレビュー論文では、
BPAが↓のような我々の体の機能に
悪い影響を与えることを指摘しています。
・生殖
・発達
・代謝
・免疫
・呼吸
・肝臓
・腎臓
・発がん性
「BPA」と、これらの体の機能への悪影響のすべてが
きちんと明らかにされるには、
まだまだ時間がかかることでしょう。
しかし、
決定的なデータがないからといって、
専門家の方々も、なんの根拠もなく、
騒ぎ立てているわけではないことも忘れてはなりません。
ですので、
これらのリスクを、
根拠が十分でないからといって
無視するのも賢いとは言えません。
何より、
たいていの病気は、
何かひとつの物質だけのせいで
発現するものではありません。
BPAに、少しでも、
さらされないようにするだけで、
私たちが将来、病気になる可能性は
低くなるはずです。
ビスフェノールAへの曝露を抑えよう!
さて、
ここまでの内容をしっかりと読んでもらえていれば、
「BPAはできるだけ、体に入れない方がいいのでは?」
という心構えになって頂けているのではないでしょうか。
ここからは、
BPAを避けるためにできることを
みていきましょう。
私たちがBPAにさらされてしまうルートは、
主に、「缶詰食品」と「缶入り飲料」です。
缶詰、缶ジュースはできるだけ避ける
缶詰はもちろん、
実は、缶ジュースも
できれば、やめた方がいいわけですね。
缶詰をやめて、
食事を生鮮食品で作った場合、
体内のBPAのレベルは66%も低下することが
わかっています。
逆に、
毎日、缶詰のスープを何度も
食べさせた場合には、
BPAのレベルは1200%も
急上昇することもわかっています。
缶詰の中身についても、注意が必要です。
中の食品がある程度、「酸性」であると、
BPAが溶け出しやすくなります。
そのため、
炭酸飲料や一部の野菜などは
あまりよくありません。
可能ならば、
缶詰や缶ジュースはやめて、
紙製の容器やガラスなどの入れ物の食品を
選んだ方がいいと言われています。
レシートにもビスフェノールAが使われている
実は、
お店で買い物をしたときにもらえる「レシート」にも、
BPAが使われています。
表面がつるつるした「感熱紙」という種類の紙ですね。
専門家の中には、
できることならば、
「レシートはもらわない方がいい!」
と主張をする人もいます。
BPAは、
食べ物からだけでなく、
皮ふからも吸収されてしまうからです。
あまり、潔癖になりすぎるのもストレスの元ですが、
レシートで爪をこすってピカピカにすることなどは、
ということはやめた方がいいかもしれませんね。
レシートで家計簿をつけるのをやめて、
キャッシュレスやクレジットカードで
支出を管理するのも賢いと思います。
あなたの行動が未来を変えるかもしれない
今回は、
「缶詰食品に潜むリスク」
について、見てきました。
多くの缶詰には「ビスフェノールA(BPA)」という
化学物質が含まれます。
そして、意外にも
「BPAが体に悪いこと」は、
業界では、常識中の常識なのです。
体に悪くても、
安いから、買われ続ける・・・。
資本主義の「負の側面」ですね。
多くの消費者に欲しがられるからこそ、
スーパーには、その商品が並ぶのです。
もし、
誰もがBPA入りの缶詰や缶ジュースを
買わなくなったら、
安全なBPAフリーの商品だけが
スーパーに並ぶことになるでしょう。
消費者ひとりひとりが
きちんと知識をつけ、
ダメなものには、
きちんと「No」を突き付ける。
それが、
私たち、ひとりひとりが
今からできることだと思います。
消費者である私たち、ひとりひとりが
真剣に子どもたちの未来のことを考えて行動すれば、
世界は少しずつ良くなるのではないでしょうか?
今回の参考文献:『病み、肥え、貧す』
今回の参考文献は、
レオナルド・トラサンデ(2021).
『病み、肥え、貧す 有害化学物質があなたの体と未来をむしばむ』.
光文社
です。
現在、私のバイブルになりつつある本です。
読んだら、
世の中への見方が変わること間違いなしです。
あなたにもし、怖いものを見る勇気があるならば、
ぜひ、読んでみてください(笑)